【はじめに】
【目的】
【方法】
【結果】
【結論】
助成
文献
(初版からの改訂内容)
【目的】 私共の施設で構築しつつある臨床検査マルチメディア・データベース(文献[1,2])に、無線式デジタル公衆回線(いわゆるデジタル携帯電話やPHS)を介して携帯型パソコン(文献[3])を接続し、画像を含むすべての臨床検査情報を時と場所を選ばず検索できる携帯端末の実現性と、その画期的な機動性により得られる臨床的効果を明らかにする。
【方法】 (1)臨床検査マルチメディア・データベースを格納したホストコンピュータと携帯型パソコンのそれぞれに無線式デジタル公衆回線の端末装置を接続し、それぞれに適合する通信制御ソフトをインストールする。(2)携帯型パソコンにはクライアント機能、ホストコンピュータにはサーバ機能を備えたネットワーク管理ソフトをインストールする。(3)携帯型パソコンから無線式デジタル公衆回線を介してホストコンピュータのデータベースに接続し、通信性能やコストなどにつき基礎的検討を行う。(4)携帯型パソコンを大学構内、他の医療機関、一般家庭、走行中の車両、路上等さまざまな場所や地域に持ち出して接続実験を行い、総合的な実用性を評価する。
【結果】 (1)耐久性は問題なかったが、外付けの通信端末や接続アダプタが操作の邪魔になり、携帯型パソコンとの一体化が望まれた。蓄電池による連続稼働は2時間程度で、改善が望まれた。(2)文字データの伝送速度は許容範囲内であったが、動画像は1秒程度の再生でも分単位の伝送時間がかかり、使い方を工夫する必要があった。(3)電波条件により使用可能な場所に制約があった。また電波条件の悪い場所でもデータの劣化はなかったが、回線が突然切断されることがあった。
[表1]通信にかかる時間とコスト ●操作内容: 開始→接続操作 →紹介状(22KB)の転送 →心エコー(約1秒分、391KB)の転送 →接続終了操作 →終了 ●回線使用時間(通話料) 平日昼間:675秒(730円) 深夜早朝:677秒(300円) ●基本使用料(月額):7,800円/1回線 ●初期費用(機器・契約料):152,000円/1回線 [表2]場所による使用可否 本学3階検査部 ○(稀に中途切断) 本学4階外来 ○ 本学9階病棟 ○ 地方病院1階 ○(稀に接続失敗) 一般家庭1階 ×(「圏外」表示) 一般家庭2階 ○(稀に中途切断) 地上走行中の列車内 △(数分で中途切断) 地上走行中の自動車内 △(数分で中途切断) 路上 ○ 地下街 ×(「圏外」表示)【結論】 無線式通信回線を介し接続できる携帯端末は、利用場所の自由度を飛躍的に高めることが実証されたが、携帯性、伝送速度、回線の安定性、通信コストにつき改善が望まれた。