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第42回日本臨床病理学会総会 42nd JSCP (Nov., 1995) p215
P88

臨床検査マルチメディア・データベースと携帯端末を
無線式デジタル公衆回線で結ぶ研究

西堀眞弘
東京医科歯科大学医学部附属病院検査部

A Mobile Terminal Accessing a Multimedia Database
through a Digital Cellular Telephone Network

Masahiro Nishibori
Clinical Laboratory, Tokyo Medical and Dental University, Medical School

revised edition<Last updated, Nov. 16, 1995>
(revisions from the first edition are summarized at the end)


目次

【はじめに】
【目的】
【方法】
【結果】
【結論】
 助成
 文献
(初版からの改訂内容)


【はじめに】 ネットワーク技術の応用は医療に変革をもたらすことが期待されている。しかしこれまでの研究の多くは、医療機関の症例検討室等限定された場所に有線式デジタル回線を敷設することを前提にしているため、利用場所が固定され、回診、往診、巡回診療あるいは救急搬送等の際に不可欠な端末の機動性には全く配慮がなされていない。

【目的】 私共の施設で構築しつつある臨床検査マルチメディア・データベース(文献[1,2])に、無線式デジタル公衆回線(いわゆるデジタル携帯電話やPHS)を介して携帯型パソコン(文献[3])を接続し、画像を含むすべての臨床検査情報を時と場所を選ばず検索できる携帯端末の実現性と、その画期的な機動性により得られる臨床的効果を明らかにする。

【方法】 (1)臨床検査マルチメディア・データベースを格納したホストコンピュータと携帯型パソコンのそれぞれに無線式デジタル公衆回線の端末装置を接続し、それぞれに適合する通信制御ソフトをインストールする。(2)携帯型パソコンにはクライアント機能、ホストコンピュータにはサーバ機能を備えたネットワーク管理ソフトをインストールする。(3)携帯型パソコンから無線式デジタル公衆回線を介してホストコンピュータのデータベースに接続し、通信性能やコストなどにつき基礎的検討を行う。(4)携帯型パソコンを大学構内、他の医療機関、一般家庭、走行中の車両、路上等さまざまな場所や地域に持ち出して接続実験を行い、総合的な実用性を評価する。

[図1]

[図2]

【結果】 (1)耐久性は問題なかったが、外付けの通信端末や接続アダプタが操作の邪魔になり、携帯型パソコンとの一体化が望まれた。蓄電池による連続稼働は2時間程度で、改善が望まれた。(2)文字データの伝送速度は許容範囲内であったが、動画像は1秒程度の再生でも分単位の伝送時間がかかり、使い方を工夫する必要があった。(3)電波条件により使用可能な場所に制約があった。また電波条件の悪い場所でもデータの劣化はなかったが、回線が突然切断されることがあった。

[表1]通信にかかる時間とコスト
●操作内容:
 開始→接続操作
   →紹介状(22KB)の転送
   →心エコー(約1秒分、391KB)の転送
   →接続終了操作
   →終了
●回線使用時間(通話料)
  平日昼間:675秒(730円)
  深夜早朝:677秒(300円)
●基本使用料(月額):7,800円/1回線
●初期費用(機器・契約料):152,000円/1回線

[表2]場所による使用可否
本学3階検査部    ○(稀に中途切断)
本学4階外来     ○
本学9階病棟     ○
地方病院1階     ○(稀に接続失敗)
一般家庭1階     ×(「圏外」表示)
一般家庭2階     ○(稀に中途切断)
地上走行中の列車内  △(数分で中途切断)
地上走行中の自動車内 △(数分で中途切断)
路上         ○
地下街        ×(「圏外」表示)
【結論】 無線式通信回線を介し接続できる携帯端末は、利用場所の自由度を飛躍的に高めることが実証されたが、携帯性、伝送速度、回線の安定性、通信コストにつき改善が望まれた。
(本研究の一部は平成7年度文部省科学研究費補助金 奨励研究(A)課題番号07772251による)

文献

[1]
西堀眞弘・堀岡理・須賀龍治・奈良信雄・萩原三千男、病態解析システムの開発について(第1報)、臨床病理、第41巻補冊、333、1993年
[2]
西堀眞弘・堀岡理・須賀龍治・奈良信雄・萩原三千男、ダウンサイジングと分散化を指向した総合臨床検査情報解析システム、第13回医療情報学連合大会論文集、651-652、1993年
[3]
西堀眞弘、医療用マルチメディア・データベースのユーザーインターフェース携帯化の試み、第14回医療情報学連合大会論文集、727-730、1994年

初版(抄録掲載)からの改訂内容


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