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UIC選書[1996年3月29日] / UIC SELECTIONS [Mar. 29, 1996]
1時間でわかる
インターネット・エッセンス
西堀眞弘
ユーザーインターフェースデザイン研究センター(UIC)
revised edition<Last updated, Sep. 10, 1996>
(revised portions from the first edition are marked with [revn] signs.)
目次
使う立場から見た「インターネットとは何か」
どうすればインターネットの利用者になれるか
これだけで使えるブラウザーソフト基本操作7項目
有名なホームページの例
他の先進機能の例
医学関連ホームページの例
(初版からの改訂内容)
使う立場から見た「インターネットとは何か」
従来さまざまな形態で行われてきた情報伝達・交換を一元的にかつ革命的低コストで実現するグローバルコンピュータネットワーク
- 手紙・電話などの通信
- ラジオ・テレビなどの放送
- パソコン通信・商用データベースなどのコンピュータ通信
通信の速度、品質やセキュリティーを保証する責任者がいない
- 情報が正しいとは限らず、誰が覗くか分からず、途中で改ざんされるかも知れず、いつ止まるか分からない
- リスクはすべて利用者の自己責任
- 例えば電子メールは封書ではなく、ボランティアがリレー式に運んでいく鉛筆書きの葉書のようなものである
誰でも情報の受け手になれるだけでなく、誰でも情報の発信ができる
- ネット上では誰にでも「掲示板」を掲載できる
- 先進機能を使えば「放送局」すら開業できる
刻々と変化し規模・技術共に爆発的に自律成長しつつある
- 今日の話しが明日は違っている可能性もある
- 全体像や行き着く先は誰にも分からない
インターネットについてのすべての情報はインターネットで取り寄せられる
- 例えば、自分の知りたい情報がどこにあるか、自分の知りたい情報を探すにはどうしたらいいかなどもインターネットで取り寄せられる
- あるいはインターネットの利用に必要な最新版のソフトがインターネットを使ってわずかな費用で取り寄せられる
- 最新情報になる程インターネットでしか得られない
- 利用者はますます情報武装し、その他の人々とはますます差がつく
理解するにはよく分からないまま実際にさわってみる以外にない
- 難しい操作を知らなくても情報の閲覧・ソフトの取り寄せだけなら誰にでもできる
- 情報の閲覧のときにはどんなに間違った操作をしても、知らないうちに誰かに損害を与えたり自分が被害を受けることはない
どうすればインターネットの利用者になれるか [rev2]
ステップ1:既にインターネットに接続している経験者を見つける
- 接続済みの大学や企業の所属者の場合 → ネットワーク管理者か既に利用している同僚
- それ以外の場合 → 身の回りで商用プロバイダーを利用している友人
ステップ2:利用に必要なハードウエアを調達しその経験者に相談しながらつながせてもらう
- 接続済みの施設 → 基本的には無料
- 商用プロバイダーを介する場合 → 電話の通話料および接続料が別々にかかるが、急速に低廉化している
- ネットワーク関連の各種パラメータや電子メールアドレスをいい加減に設定するとインターネット全体に被害を及ぼす恐れがある
- マニュアル等に書かれていないトラブルが頻発するが、恥ずかしがらずに経験者に聞けばたいがい解決できる
ステップ3:利用に必要なソフトウエアを調達し経験者に使い方を教えてもらう
- 少なくとも「ブラウザーソフト」を立ち上げるところまでが目標
- できれば「電子メール」を覚えるとインターネットの住人とコミュニケーションできる
- 最近では1本のソフトに「ネットニュース」を含めた基本機能が全て含まれている
- 予期せぬトラブルが頻発するが、気軽に相談できる身近な経験者を確保することがポイント
これだけで使えるブラウザーソフト基本操作7項目
操作1:ページの中のまわりと違う色の文字や枠のついた絵(これを「アンカー」という)にマウスで矢印を合わせボタンを押してまた放す(これを「クリックする」という)
- クリックするとそのアンカーに対応する別のページが表示される(これを「リンク」という)
- 同じコンピュータの中だけでなく、世界中のコンピュータのホームページへ一瞬のうちに移動できる(これを次々と繰り返すことを「ネットサーフィング」という)
- クリックするとデータファイルやソフトウエアが送られてくる(「ダウンロード」という)アンカーもある
- 前もって設定してあれば自動的に再生ソフトやインストールソフトが起動する
操作2:見たいページの所在地を入力欄(「Location : 」または「場所:」の右にある枠)に打ち込んでリターンキーを押す
- 所在地の表示方法をURL(Uniform Resource Locator)という(例:http://www.ntt.jp/、http://202.242.169.152/clap/clap.html)
- 「://」の前がデータの引き出し方式(プロトコル、例:http、ftp、gopher、file)
- 「://」の後次の「/」までがデータの蓄えてあるコンピュータの固有名(ドメインネーム、例:www.ntt.jp)または固有番号(IPアドレス、例:202.242.169.152)
- プロトコルが「file」のときは見ているハードディスク名
- その後ろが目的のページのディレクトリ名(フォルダ名)およびファイル名
- 空欄となっている場合は予め決められたページが表示される
操作3:「ブックマーク/Bookmarks」メニューに見たいページが載っていればそこから名前を選ぶ
- 「ブックマークを追加/Add Bookmark」コマンドで今見ているページを追加できる
操作4:ページの上下スクロールは↑および↓キーを使う
操作5:ひとつ前のページに戻りたいときは左上のボタンをクリックする
操作6:データの転送が遅くて待っていられないときはボタンをクリックするとそこで止められる
操作7:絵がうまく表示されないときなどはボタンをクリックしてみる
有名なホームページの例
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- アメリカの大学生が始めたインターネットの索引ページの元祖。キーワードによる自動検索と内容に沿った分類をたどる方法の2種類がある。
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- 最も早くから開設されている日本の代表的ホームページ。国内のホームページの膨大なリストが掲載され、「日本の新着情報」には大量の情報が日々追加されている。閲覧者が多いのでなかなかつながらないことがある。
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- ネットワーク版の朝日新聞。新聞記事の多くを網羅しているうえ内容の更新も頻回で、新聞社が開設しているホームページの中では最も充実している。
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- 最も実用的な日本語の検索ページのひとつ。必要な情報だけがうまく整理してあり、初心者でも探しやすい。キーワードによる自動検索と内容に沿った分類をたどる方法の2種類がある。
他の先進機能の例
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- モノクロではあるが、インターネット経由でテレビ会議ができる。NASAからはNASA TVという番組が放送されており、このソフトをインストールすれば誰でも見ることができる。
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- CU-SeeMeの商品版である。カラー対応になり、参加者が図表を提示したり、マークをつけたりできる電子黒板を使いながらテレビ会議ができる機能が追加された。[rev1]
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- インターネット経由で放送されているカラーのテレビ番組を受信するソフト。接続回線の通信速度が十分でないと受信は困難であるが、低速回線の利用者でも聞ける音声だけの放送もある。
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- ホームページに音声つきのアニメーションや簡単なゲームを表示できるようにする付加ソフト。動画像を表示する方法は他にもあるが、現在はこの方式を使ったページが急速に増えている。
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- 文字や画像だけでなく、インターネット経由でプログラムまで配ってしまい、手元のコンピュータにいちいちソフトをインストールしなくても、インターネットにつなぐだけでいろいろな機能が使えるようにするという新しい通信方式。この機能を使うにはブラウザーソフトがJavaに対応している必要がある。
医療関連ホームページの例
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- 大学医療情報ネットワーク(略称UMIN)の事務局が運営するページ。日本の医療に関する情報では最も充実しているページである。
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- 医療情報システム開発センターからデータの提供を受け、名古屋大学医学部がデータベース化している。薬の名前から添付文書の内容全文を検索できるという大変便利なページであるが、残念ながらUMINの登録者以外は見ることができない。
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- 厚生省の配布している「医薬品副作用情報」のデータを厚生省薬務局と日本薬剤師会(中央薬事センタ−)から提供を受けて1992年3月のNo.110から掲載している。社会的に著しく必要性の高いページであるが、残念ながら情報の更新に3ヵ月以上の遅れがある。
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- 国立がんセンター学術情報ネットワークによる、がん患者やその家族、治療にあたる医師、看護婦、その他の医療従事者のための情報を提供しているページ。各種のがんに関する詳しい解説や、緩和ケア病棟を有する病院のリストなどを見ることができる。
初版からの改訂内容
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[rev1]
- 「Enhanced CU-SeeMe」の記述を追加
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[rev2]
- 利用を始めるときの説明をインターネットの状況変化に合わせて改訂、さらにUMIN、癌センターのURLの変更に対応
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