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臨床病理 38(補冊) : 140、1990年
Japanese Journal of Clinical Pathology 38(Suppl.) : 140, 1990

第37回日本臨床病理学会総会

検体検査トータルシステムの開発(第1報)

― 開発の基本構想について ―

西堀眞弘*1 椎名晋一*2

*1,2東京医科歯科大学医学部臨床検査医学

Development of a Total Automation System for the Clinical Laboratory
-A Basic Plan-

Masahiro NISHIBORI*1 and Shin-ichi SHIINA*2

*1,2Department of Laboratory Medicine, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo

[published edition]
【目的】 現在私どもの施設で建設中の医科新棟において、4年後に予定されている開設時に、21世紀のインテリジェントホスピタルにふさわしい、先進的な検体検査を実現するためのシステムを開発する。 【方法】 従来のシステム開発とは全く異なる発想に基づき、新しいアイデアを取り入れる。それらは次に述べる「7つのトータル化」にまとめられる。
(1)トータルな分析対象:従来のような病態検査主導型の臨床検査から、治療に直結する病因検査に重点を置いた臨床検査への脱皮を目指す。具体的には、日常検査項目だけでなく、緊急検査、細菌検査、遺伝子検査なども包含し、あらゆる種類の検体の分析を目指す。
(2)トータルなオートメーション化:検査業務のオートメーション化を極限まで追求し、検体、依頼情報、精度管理検体、試薬、洗浄水および電力を入れるだけで、クリーンデータ、残余検体、熱および廃棄物が出力される完全自動化システムの実現を目指す。ただし、データの最終的なバリデーションは、専門家が容易に行えるようにする。
(3)トータルな安全性:すべての物理化学的、機械的および生物学的ハザードから、人間と環境の安全を守る。
(4)トータルな柔軟性:医学や技術の進歩が次々と臨床検査にもたらす変化に迅速に対応できる柔軟性と、生体の一部である検体のもつさまざまな多様性を吸収できる柔軟性を確保する。特に後者は、均質な製品だけを扱うオートメーション工場との大きな相違点である。
(5)トータルな標準化:あらゆる施設において、豊富な選択肢の中から望み通りの機器を選んで組み合わせることができ、構成部品の交換や追加だけで容易に機能の変更や拡張ができるような、標準化された環境を実現する。また測定値だけでなく、検査精度の標準化も目指す。
(6)トータルな門戸解放:すぐれた技術やアイデアをできるだけ結集するため、開発作業への参画を広く公募し、確立された規格は共通の財産として広く公開する。
(7)トータルな費用対効果判定:効果判定を単独の施設に限れば、私どもの構想に必要な投資は過大かも知れない。しかし、それぞれの目標を達成したうえで標準化に成功すれば、広く医療にもたらす恩恵は計り知れない。
【結果】 私どもの公募に対して、多くの熱意に溢れた提案が各方面から寄せられた。すなわち、私どもの開発構想は広く支持され、順調な第一歩を踏み出すことができた。

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