第45回日本臨床病理学会総会 45th JSCP (Nov., 1998) p193 281インターネットを使って超音波ビデオ画像のコントロールサーベイを実施する研究
西堀眞弘*1
*1 東京医科歯科大学医学部附属病院検査部
first edition<Last updated, Dec. 10, 1998> (revised portions from the first edition will be marked with [revn] signs.)
目次
【目的】 | 【方法】 | 【結果】 | 【結論】 | 謝辞 | 助成 | 【文献】
スライド1:タイトル
スライド2:従来のコントロールサーベイ
スライド3:インターネットを使ったサーベイ
スライド4:方法
スライド5:ホームページに掲載された心エコー
スライド6:研究班の名簿
スライド7:結果
スライド8:結論
スライド9:将来計画
【目的】 超音波断層撮影は検査成績が術者の技能に大きく影響を受けるにもかかわらず、これまで臨床検査における外部精度管理の対象には含められていなかった。その理由はポラロイド写真のような静止画像では判別できないことが多く、かといってビデオテープを個別に配布するのはコストがかかりすぎるためである。著者は既に静止画像のスライド写真を用いる形態検査の外部精度管理について、同様の問題をインターネットを利用して克服することに成功している【文献】[スライド2] [スライド3] 。そこで今回は、動画像である超音波断層撮影ビデオ画像について、インターネットのマルチメディア情報発信機能を活用することにより、外部精度管理実施の可能性を検討した。【方法】[スライド4] (1)判定用の心臓超音波断層撮影ビデオ画像3本をデジタイズし、いろいろな大きさと圧縮率でホームページ掲載用のフォーマットに変換のうえ外部精度管理用のサーバ(URL http://square.umin.ac.jp/survey/)に設問と共に掲載する[スライド5] 。(2)これをさまざまなサイトおよび端末機種で閲覧し、判定に耐える画質が得られるかどうか、あるいは表示されるまでの待ち時間等につき評価のうえ問題点を改善する。(3)循環器専門医2名に協力を依頼し、インターネットを介して判定用画像を閲覧のうえ画質と再生時間につき評価してもらう。
【結果】[スライド7] (1)約1秒間のビデオ画像を320×240ピクセルの大きさ、フルカラーで1秒間15フレーム、Cinepak方式で圧縮すると、350K〜490Kバイトのファイルになった。(2)表示を指示してから画像が再生されるまでの時間は、接続回線の種類により40秒から数分と大きくばらついた。(3)評価を依頼した循環器専門医2名は、すべての画像につき所見を読み取るのに必要十分な画質および再生時間であると判断したが、検査機器の表示装置と同程度の表示サイズを希望した。(4)動画像をスムーズに再生するには、中級クラス以上の処理能力を持ったパソコンが必要であった。
【結論】[スライド8] 今回インターネットで通常用いる圧縮率でも十分所見が読み取れたことから、低速回線で接続している利用者でも超音波ビデオ画像の閲覧が可能と考えられた。ホームページに掲載した動画像を外部精度管理に利用する試みは著者の知る限り世界初であり、この方法を適用すれば、インターネットの浸透とOSに依存しない動画再生ソフト(QuickTime)の普及により、従来は困難であった個人参加による超音波断層撮影の外部精度管理が十分実施可能であると考えられた。
(画像の評価にご協力いただいた日本医科大学客員教授・春日部秀和病院副院長 森島明先生、東京医科歯科大学 本川克彦先生に深く感謝いたします )
(本研究の一部は平成10年度文部省科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号10672172による)
【文献】西堀眞弘、大場康寛、伊藤機一、渡辺清明、菅野治重:インターネットを使って形態学的検査のコントロールサーベイを実施する研究.臨床病理、第45巻補冊、p178、1997
初版(抄録掲載)からの改訂内容
- [rev1]
- 発表時のスライド1〜9を添付