[-> Archives of Dr. mn's Research Works]

第43回日本臨床病理学会総会 43rd JSCP (Nov., 1996) p126
2A-130

インターネットを使って臨床検査情報をネットワーク化する研究

−日本臨床検査医会有志によるホームページの試験運用について−

西堀眞弘*1 土屋達行*2 木村 聡*3

*1 東京医科歯科大学医学部附属病院検査部
*2 日本大学医学部臨床病理
*3 昭和大学医学部臨床病理

Organizing the Laboratory Information Network Using the Internet Power

Masahiro Nishibori*1 Tatsuyuki Tsuchiya*2 Satoshi Kimura*3

*1 Clinical Laboratory, Tokyo Medical and Dental University, Medical School
*2 Dept. of Clinical Pathology, Nippon University, Medical School
*3 Dept. of Clinical Pathology, Shouwa University, Medical School

revised edition<Last updated, Nov. 11, 1996>
(revisions from the first edition are summarized at the end)


目次

【目的】
【方法】
【結果】
【結論】
 謝辞
 助成
 文献
(初版からの改訂内容)


【目的】 臨床検査医学において研究されてきたネットワークシステムの多くは、用途あるいは利用者を限定した閉じたシステムであり、設置・維持・運営等のコストに比べ効果が限られていた。本研究は、画期的な普遍性、拡張性および経済性を特徴とするインターネットを活用し、臨床検査に関する最新の情報を蓄積したホストコンピュータをどこからでも手軽に検索できるようにしたうえ、公開コンサルテーション、公開精度管理および生涯教育などの場を設けることにより、臨床検査の専門家による診療支援の、従来では考えられない程の費用対効果と社会的インパクトを検証しようとするものである。

【方法】 (1)臨床検査公開コンサルテーション[1]、新規保険集載臨床検査項目、血液細胞判定の模擬サーベイ、免疫電気泳動像判定模擬トレーニングのそれぞれに必要なデータをデジタイズし、インターネットの標準フォーマットに変換したうえセキュリティーの確保された隔離データベースに登録する[2]。(2)データ登録したデータベースのホストコンピュータをインターネットに接続し、情報発信用サーバソフトをインストールする。(3)アクセス可能なさまざまな施設に呼びかけて利用してもらい、臨床効果ならびにセキュリティー、画像情報の品質、信頼性、安定性、検索スピード、操作性、コストなどさまざまな観点から臨床的有用性を明らかにする。(4)インターネットはセキュリティー面や信頼性でのリスクが大きいため当面は試験運用とする。

【結果】 (1)試験運用の告知は昨年の総会での掲示と日本臨床検査医会機関誌の記事に限ったが、4か月で千回以上のアクセスがあり、圧倒的に会員以外が多かった。(2)臨床検査技師の他、病院勤務医や産業医からコンサルテーション依頼が寄せられ、回答は全員に高い評価を受けた。(3)アクセス可能な会員が少ないためサーベイやトレーニングの試行は延期したが、それぞれ実用に耐える画像品質が得られた。(4)一時的な停止を除き、無休運用が可能であった。(5)当初警戒したセキュリティー面のトラブルや苦情は一切なかった。表1にアクセス数の推移等を示す。

[表1]アクセス数の推移(1996年10月末時点)

1995年
11〜12月
1996年
9〜10月
備考
全アクセス 739 1594
アクセス元のサイト数 423 1654
臨床検査公開コンサルテーション 112 318 質問数:18
Q&A掲載数:12
新規保険収載臨床検査項目 98 270 掲載項目数:26
世界の保健医療ニュース 95 130 掲載記事数:65
臨床検査医ニュース 112 226
臨床検査関連の製品情報 85 197
臨床検査公開サーベイ 72 889 回答数:6
施設3、個人3
臨床検査公開講習会 52 107

【結論】 本研究の結果および爆発的な普及状況から考えて、インターネットによる情報発信が大きな社会的効果をもたらすのは時間の問題であると考えられる。

(貴重な登録データをご提供いただき、本ホームページの運用にご協力いただいている日本臨床検査医会有志の先生方に深く感謝いたします)

(本研究の一部は平成8年度文部省科学研究費補助金 奨励研究(A)課題番号08772180による)

文献

[1]
木村 聡、検査医会への一提案 コンサルテーションに答えられる電脳情報網を創設しよう、LabCP Vol.13、128-129、1995
[2]
臨床検査医のページ(URL http://202.242.169.152/clap/clap.html

初版(抄録掲載)からの改訂内容


[-> Archives of Dr. mn's Research Works]