[-> Archives of Dr. mn's Research Works]

第18回医療情報学連合大会 18th JCMI (Nov., 1998)
2-K-7-4

WWWを用いた超音波ビデオ画像の外部精度管理

西堀 眞弘1)
東京医科歯科大学医学部附属病院検査部1)

The WWW Based External Quality Control
of the Ultrasonic Imaging

Masahiro Nishibori1)
Clinical Laboratory, Tokyo Medical and Dental University, Medical School1)

(mn.mlab@med.tmd.ac.jp)

first edition<Last updated, Dec. 11, 1998>
(revised portions from the first edition will be marked with [revn] signs.)


Abstract

Though the diagnostic quality of the ultrasonic imaging is mainly decided by the skills of each operator, this category has been excluded from almost all external quality control programs because of the difficulty of distribution of video images. So the multimedia compatibility of the WWW system was utilized to substitute the home pages for video tapes. After a series of trials and errors, three video images of ultrasonic cardiography were digitized at 15 fps in full color mode, 320 by 240 pixel large, and were converted using Cinepak codec into one secondユs movie files of 350 - 490K bytes. Both two cardiologists were satisfied with the diagnostic quality of these images desplayed on CRTs or on flat panel displays, though they preferred larger image size. In conclusion, the WWW system may be a key technology to realize the external quality control programs of every laboratory test which produces the moving images.

Keywords: world wide web, laboratory test, quality control, ultrasonic imaging, video image


Contents

1.はじめに
2.方法
3.結果
4.考察
 助成
 謝辞
 参考文献
(初版からの改訂内容)


1 .はじめに

 超音波断層撮影は検査成績が術者の技能に大きく影響を受けるにもかかわらず、これまで臨床検査における外部精度管理の対象には含まれていなかった。その理由はポラロイド写真のような静止画像では判別できないことが多く、かといってビデオテープを個別に配布するのはコストがかかりすぎるためである。著者は既に静止画像のスライド写真を用いる形態検査の外部精度管理について、同様の問題をインターネットを利用して克服することに成功している[1]。そこで今回は、動画像である超音波断層撮影ビデオ画像について、WWWのマルチメディア情報発信機能を活用し、外部精度管理実施の可能性を検討した。


2.方法

 判定用の心臓超音波断層撮影ビデオ画像3例をMedia 100システムを用いてデジタイズし、さまざまなcodec(表1)で圧縮のうえHTTPサーバ(URL http://square.umin.ac.jp/survey/)に掲載した。これをさまざまな機種の端末で閲覧し、判定に耐える画質が得られるかどうか、あるいは表示までの待ち時間等につき評価のうえ問題点を改善した。そのうえで、循環器専門医2名にインターネットを介しての閲覧と画像品質および再生時間の評価を依頼した。

表1 QuickTime互換の動画像圧縮方式
コーデック色数の種類
Apple BMP
CU-SeeMe Gray
DV-NTSC
DV-PAL
animation


motion JPEG A
motion JPEG B
graphics
video
component video
photo JPEG
Cinepak
H.263
Intel Indeo Vido R3.2
Intel Raw
Microsoft RLE
Microsoft Video 1
Planar RGB

Sorenson Video
2, 16, 256, million
gray scale
color
color
2, 4, 4(gray), 16, 16(gray), 256,
256(gray), thousands, million,
million+
color, gray scale
color, gray scale
color, gray scale
color
color
color, gray scale
256, 256(gray), million
color
color
color
color
256, thousands
256, 256(gray), million,
million+
color

図1 ホームページに掲載された心臓超音波ビデオ画像

本研究で実験に使用した画像は、本年度より2年計画で発足した「形態検査インターネットサーベイ研究班」のホームページ(http://square.umin.ac.jp/survey/)の公開実験室に掲載されている。「心臓超音波ビデオ画像」の項目をクリックすると、図中央下のウインドウのように表示され、画像の下にあるコントロールストリップを操作して再生、コマ送り、スロー再生などができる。画像の上方にある「Ultrasonography 2」等のインデックスをクリックすると、他の画像が表示される。なお、再生には「QuickTime Plugin」というソフトウエアをブラウザにインストールする必要があるが、これはアップル社ホームページのQuickTimeのページ(http://quicktime.apple.co.jp/)で、Macinsosh版とWindows版の両方が無料で提供されている。


3.結果

  1. 約1秒間のビデオ画像を320×240ピクセルの大きさ、フルカラーで1秒間15フレームでデジタイズし、Cinepak方式で圧縮すると、350K〜490Kバイトのファイルになった。
  2. 表示を指示してから画像が再生されるまでの時間は、接続回線の種類により40秒から数分と大きくばらついた。
  3. 評価を依頼した循環器専門医2名は、すべての画像につき所見を読み取るのに必要十分な画質および再生時間であると判断したが、検査機器の表示装置と同程度のより大きな画像を希望した。
  4. 動画像をスムーズに再生するには、中級クラス以上の処理能力を持ったパソコンが必要であった。


4.考察

 インターネットで通常用いる圧縮率でも十分所見が読み取れたことから、低速回線で接続している利用者でも超音波ビデオ画像の判定が可能である。したがって、OSを選ばなないQuickTime等、現在驚異的に進歩しつつある動画像の表示技術を用いれば、従来は困難であった心エコー検査をはじめ、動く画像による外部精度管理の実現性は高いと考えられた。


(画像の評価にご協力いただいた日本医科大学客員教授・春日部秀和病院副院長 森島明先生、東京医科歯科大学 本川克彦先生に深く感謝いたします )


(本研究の一部は平成10年度文部省科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号10672172による)

参考文献

[1]
西堀眞弘:形態検査の外部精度管理にWWWを利用する研究、第17回医療情報学連合大会論文集、798-799、1997.

初版(論文集掲載)からの改訂内容

なし

[-> Archives of Dr. mn's Research Works]